2024年診療報酬改定のポイントは「外来患者数の減少」と「在宅患者数の増加」
診療報酬は社会情勢や医療の進歩に合わせて調整が必要であるとされているため、基本的には2年ごとに見直しが行われます。今回の改定の背景には外来患者数の減少と在宅患者数の増加があります。
外来患者数の減少
日本の人口は近年減少局面を迎えており、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。人口減少の影響が広がり、大都市圏の一部を除いて、全国的に外来患者数が減少し続けています。高齢化や出生率の低下などが主要な要因とされ、これにより医療機関の利用パターンが変化しています。特に地方地域では、医療提供者にとって新たな課題が生じ、医療資源の再配置や地域医療の充実が模索されています。
出典:第8次医療計画、地域医療構想等について https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000911302.pdf
在宅患者数の増加
近年在宅患者数が著しく増加しており、2040年にほとんどの地域で在宅患者数がピークを迎えます。特に訪問診療を受ける人数が大幅に増加しています。増加の背景には、高齢化の影響が大きな要因として挙げられます。統計によると訪問診療を受ける患者の約9割が75歳以上の高齢者で占められており、高齢化が在宅医療の需要に大きな影響を与えていることがわかります。今後は患者のニーズに対応し、訪問診療を通じてより高品質な医療ケアを行っていく必要があります。
出典:第8次医療計画、地域医療構想等について https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000911302.pdf
2024年は6年に1度の「トリプル改定」
2024年には、「診療報酬」の改定に加えて、「介護報酬」と「障害福祉サービス等報酬」の見直しが同時に行われます。診療報酬は診療行為に対するサービス対価を規定する制度です。一方、「介護報酬」は要介護者や要支援者へのサービス対価を、そして「障害福祉サービス等報酬」は障害者(児)や難病患者の対象者へのサービス対価を決定する制度です。この3つの報酬制度が同時に改定されることを「トリプル改定」と呼び、6年に1度の特別な機会です。
トリプル改定の重要ポイント
トリプル改定においては、各報酬制度間での連携が非常に重要視されており、これに関する議論のために様々な意見交換会が開催されています。この意見交換会には、医療側を代表する「中央社会保険医療協議会」と介護分野を代表する「社会保障審議会介護給付費分科会」の両者が参加します。これらの会議は2023年5月までに3回開催され、地域包括ケアのさらなる推進、高齢者施設や障害者施設における医療、訪問看護に関する重要な議題が議論されました。中央社会保険医療協議会 医療保険の診療報酬の改定・療養担当規則の改定に関し、厚生労働大臣の諮問を受け審議・答申するほか、自ら建議することを任務とする厚生労働大臣の諮問機関(略称、中医協) 社会保障審議会介護給付費分科会 保険者が行った保険給付等に関する処分に対する、不服申立の審理・裁決を行う第三者機関として、各都道府県に設置
第8次医療計画
2024年度から新たな医療計画(第8次医療計画)がスタートします。医療計画とは医療法に基づいて医療提供を効率的に確保するための計画です。従来、医療計画は5つの事業分野(救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)と4つの主要な疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に焦点を当てていましたが、第8次医療計画では新型コロナウイルス感染症への対策として、事業分野に「新興感染症対策」が追加されます。また、認知症の増加を見込み疾患に「精神疾患」が追加されます。
診療報酬改定と第8次医療計画
2024年の診療報酬改定では、この医療計画の変更も考慮されています。たとえば、高齢者の救急患者の受け入れに関しては、第8次医療計画で地域の救急医療施設の役割分担が明確化される一方で、診療報酬改定では地域包括ケア病棟を持つ医療施設における救急医療の条件が具体的に設定されることとなります。
診療報酬面の評価
診療報酬面の評価も変更があります。変更ポイントは「地域包括診療料の加算」と「慢性疾患患者に対しての加算」です。
【COLUMN】2025年問題・2040年問題
生産年齢人口が減少し高齢者が働き続けられる「生涯現役社会」の概念が提唱 2024年の改定は、団塊の世代が一気に65歳以上を迎える2025年問題直前の年でもあります。2025年問題とは団塊の世代(第1次ベビーブーム世代)が全員75歳以上になり、超高齢化社会を迎えることで生じる問題の総称のことを指しています。その後さらに社会保障費の増大や労働力不足、インフラや公共施設の老朽化などの課題(2040年問題)が現れます。このうち特に労働力の問題に対応するため、「生涯現役社会」の概念が提唱され、高齢者が働き続けられる社会づくりが進められています。
2040年が近づくにつれ高齢者の医療・介護需要が増加し、社会保障費が増え、診療報酬改定において医療と介護業界の連携が強調され、診療報酬面でも評価されるでしょう。2024年度の診療報酬改定は2040年問題を考慮した重要な過渡期の改定と言えます。2024年診療報酬改定スケジュール 8月2日の中医協総会で、厚生労働省は2024年度から診療報酬の本体改定を2か月後ろ倒しにすることを提案し、了承されました。診療報酬改定の施行6月1日となり、初回のレセプト請求は7月10日となります。経過措置がある項目は、従来と同じ9月までを基本とします。
出典:中医協資料 医療のDXについて(その2)より:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf まとめ 診療報酬改定については、今後も具体的な議論が続きます。医療制度の変化や社会のニーズに対応するため、診療報酬の見直しは欠かせないものです。今度の動向を注視しましょう。今回の診療報酬改定を踏まえた具体的な対策は、「6年に1度のトリプル改定・後編 【診療所向け】2024年度診療報酬改定を踏まえた外来&在宅医療の在り方」にて解説します。
ぜひ、合わせてご覧ください。