知多半島総合医療センター
補助金活用で2か月即導入、全職種が使える生成AI基盤を構築
公開日:2026/3/23

愛知県の補助金を活用して検討開始からわずか2か月で生成AIを現場に投入した知多半島総合医療センター。医師・看護師・事務職など全職種が退院時サマリーの自動生成やICUカンファレンス資料の自動作成に活用し、書類作成業務の大幅な効率化と経営改善を同時に実現した。
知多半島総合医療センターは、愛知県の補助金を活用して検討開始からわずか2か月で生成AIを現場に投入した。医師・看護師・事務職など全職種が診療サマリーの自動生成やICUカンファレンス資料の自動作成に活用し、書類作成業務の大幅な効率化と経営改善を同時に実現した。
- ●医師の働き方改革への対応とタスクシフトの加速
- ●全職種が使える生成AI基盤の迅速な構築
- ●補助金活用による財務負担を最小化したスピード導入
- ●検討開始からわずか2か月で全職種への現場投入を実現
- ●退院時サマリーの自動生成でICUカンファレンス資料も自動化
- ●電子カルテ連携プログラムを生成AI活用で院内内製化
スピード導入と全職種活用を両立した戦略
2024年に医療向け生成AIの本格普及が始まり、働き方改革によるタスクシフトの加速を受け、当センターは2025年5月に経営企画会議で生成AI導入の検討を開始した。「早く使えること」「誰でも使えること」を最優先の戦略コンセプトに掲げ、検討開始からわずか2か月後の2025年7月には現場への投入を実現した。財務負担を最小化するため、国の生産性向上事業と連動した愛知県医療機関職場環境改善等事業費補助金を活用し、幹部会議での即断即決につなげた。
既存インフラを活かし追加工事なしで実装
富士通の電子カルテシステムHOPE/EGMAIN-GX(端末1,140台)と院内スマートフォンiPhoneSE3.0(600台)という既存の大規模端末環境に加え、すでに整備済みのAI問診用閉域網を再利用することで、追加のインフラ工事を一切行わずに生成AIの全職種展開を実現した。また、院内スマートフォンを活用し、音声認識を利用できる環境を構築した。医師・看護師・メディカルスタッフ・事務職まで、それぞれが自部署の課題に即座に活用できる汎用性の高いシステム基盤を、最短経路で整備した点が本取り組みの最大の特徴である。
診療記録の自動生成と多言語翻訳で現場を支援
大量の診療経過記録から退院時サマリーや紹介状の下書きを自動生成する機能により、医師・看護師の書類作成時間が大幅に短縮された。過去の経過記録を数十秒で要約できるほか、紹介元から届くFAXの内容を文字起こし・取り込みする業務にも活用している。すべての出力に対して医師による最終確認(Human-in-the-loop)を徹底することで、AIへの過度な依存を防ぎ安全性を担保している。また、外国人患者への対応では専門的な医療用語を含む説明を即座に多言語翻訳できる。音声文字起こしから患者説明の内容を記事化することで記録漏れを防止するなど、診療の質向上にも貢献している。これらの機能はいずれも医療用閉域ネットワーク上で動作し、3省2ガイドライン準拠のセキュリティ環境のもとで運用されている。
入院患者情報のAPI連携
ユビーから提供される連携仕様書に従って、自施設のプログラムを電子カルテベンダーに依頼せず内製。プログラム作成にも生成AIを利用。

生成AIにプログラムの作り方を教わりながら内製化
次世代DXへの取り組みとして、これまでシステム改修や連携プログラムの作成はすべて電子カルテベンダーへの外部依頼が前提だったが、「実現したいこと」を生成AIに伝えると必要なプログラムの書き方を段階的に教えてもらえるため、一定レベルの知識があれば専門的なIT知識がなくても院内スタッフが迅速に開発を進められるようになった。この手法により、電子カルテDWHから患者情報を夜間に自動抽出するAPI連携プログラムをベンダーへの依頼なしに内製した。取得したデータをRPAと組み合わせることで、毎朝のICUカンファレンス資料の自動作成も実現した。外部依頼にかかるコストとリードタイムを削減しながら、院内のDX推進力そのものを高める好循環が生まれ始めている。
6部門WGとガイドラインで組織全体に安全普及
情報システム課が中心となり、看護局・患者サポートセンター・リハビリテーション技術科・医療技術科・臨床検査技術科・薬剤科の計6部門のワーキンググループを立ち上げ、ユビー担当者のサポートを受けながら各部門の活用を推進した。電子カルテトップページを活用した告知やマニュアルの掲載、各部会・委員会での活動報告を継続することで、口コミによる浸透を図っている。導入後半年で生成AIは業務システムとして定着し、現場に不可欠な存在となりつつある。

病院紹介
知多半島総合医療センター

愛知県半田市に位置する知多半島の中核的医療機関。愛知県の補助金を活用した2か月のスピード導入で生成AIを全職種に展開し、診療サマリーの自動生成からICUカンファレンス資料の作成まで、書類業務の大幅な効率化と経営改善を同時に実現している。
- 所在地
- 愛知県半田市横山町192番地
- 設立
- 令和7年
- 代表者
- 院長 岡田 禎人
- 病床数
- 一般病床416床
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