日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
ICTインフラの真価を引き出す"最後のピース"。全職種、1,500名が利用する「ユビー生成AI」を選んだ理由とは?
公開日:2026/6/30

2020年のICT検討プロジェクト発足以来、医療DXの最前線を走る日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院。「ユビー生成AI」は導入1年未満で全職員の75%にあたる1,500名に広がり、医師の日常的な利用率は24%に到達。内製システムによる電子カルテ連携と草の根の普及活動が実現した高い活用率の秘訣を伺いました。
2020年の『ICT検討プロジェクト』発足以来、全国の日本赤十字病院の中でも医療DXの最前線を走る『日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院』。既存インフラの価値を最大化させる「最後のピース」として導入された「ユビー生成AI」は、導入1年未満で全職員の75%にあたる1,500名へと広がり、直近では医師の日常的な利用率は24%に到達しました。業務利用において生成AI活用の価値が認められる傾向にある中、電子カルテを独自の内製システムで連携し、現場に寄り添う運用体制を構築した医療DX業務効率推進室および医療情報管理センターの皆様に話を伺いました。
- ●2020年よりICTインフラ整備を進めてきたが、膨大な「記録業務」が専門職の時間を奪い続けており、さらなる働き方改革の推進に向けた抜本的な効率化が求められていた。
- ●電子カルテベンダーが提供する生成AIは用途や対象職種が限定的であり、医師や看護師だけでなく事務職を含む全職員が多目的に活用できる環境が必要だった。
- ●スマートデバイス等のICTインフラ整備は進んだ一方で、それらを十分に活かしきるための「現場で使えるツール」が不足していた。
- ●職種を問わず現場のニーズに合わせて柔軟に活用できる"汎用性の高さ"を高く評価した。
- ●専門的なITスキルを必要とせず、誰でもすぐに使い始められるハードルの低さが、全職員への展開を可能にすると期待した。
- ●他ベンダーと比較してアップデートのスピードが比較的速く、現場の声を拾い上げて柔軟に機能改善を重ねる対応力を評価した。
- ●導入1年未満で利用者が1,500名(全職員の75%)へ急伸。業務利用において生成AI活用の価値が認められる傾向にあり、院内に浸透しつつある。
- ●紹介状作成がAIによるドラフト生成で「手打ち中心」から「手直し中心」へ移行。今後の「電子カルテ情報共有サービス」等での診療情報提供書や退院サマリー記載にも極めて有用なツールになると期待される。
- ●看護業務における始業前の情報収集やサマリー作成、議事録作成等に活用し、記録工数を削減。スタッフが本来の業務や議論に注力できる環境を創出した。
ユビー生成AIの導入背景・目的
ICTインフラの真価を引き出すための「最後のピース」としての生成AI導入
──貴院が、既存インフラの価値を最大化させるために「生成AI」を導入した狙いを教えてください。
当院では2020年に『ICT検討プロジェクト』を立ち上げ、新カルテやスマートデバイスの整備を戦略的に進めてきました。しかし、インフラが整っても、それを使いこなして職員の負担を減らす『ツール』がまだ足りませんでした。生成AIこそが、既存インフラの価値を最大化させる最後のピースだと考えたのです。現場視点でも、記録業務の多さは長年の課題でした。電子カルテ端末は台数に限りがあり、使いたい時に使えないという物理的制約もありました。そうした中、大切で欠くことのできない書類作成作業や記録・入力といった単純作業をAIに任せ、エキスパートが本来の専門性を発揮できる環境を整えることが、職員の満足度向上と人材確保に直結すると確信していました。(渡井 至彦 副院長・外科部長)

ユビー生成AI導入の決め手
職種を問わず全職員が活用できる汎用性と開発スピードを高く評価
──選定の決定打となったポイントは何だったのでしょうか。また、導入初期の現場の反応についてもお聞かせください。
伊藤 哲(情報システム係長)氏: 比較検討において、電子カルテベンダーのAIは特定の職種や『サマリー作成』などの限定的な用途に留まるケースが多いことが分かりました。一方で『ユビー生成AI』は、様々なインプット形式に対応しているため、汎用性が高い製品でした。これが当院の目指す多職種連携DXに合致したのです。
──宮部 勝之(消化器・腫瘍内科部長・医局長)氏
最初はハルシネーション(AIの嘘)への懸念や、テンプレートの複製ができないといった課題がありました。しかし、ユビーさんのフィードバックに対する改善が非常に早かったのが印象的でした。伝えた要望が即座にアップデートとして反映されるのは驚きましたね。これは他のベンダーではなかなかできないことだと思います。この信頼感と開発のスピード感があったからこそ、現場も安心して積極的に活用することができました。
──錦見 俊徳(泌尿器科部長・手術部長)氏
私は室長でありながら、実は導入まで生成AIをほとんど触ったことがなかったんです(笑)。ですが、『私が使いこなせればみんなが使えるはずだ』というスタンスで始めました。実際に使ってみると操作が分かりやすく、初心者の私でもすぐに活用できるようになった。また、電子カルテ情報をユビーに反映するシステムを内製したことも、全職員への普及に貢献したと思います。

生成AIの導入効果
1,500名の浸透を支えた事務局による草の根活動と内製システムによる自動連携
──導入1年未満で利用者1,500名、直近では医師の日常的な利用率は24%(※2026年5月時点における週1回以上利用の医師数)に到達という高い活用度を達成できた要因と、具体的な現場での変化について教えてください。
大野 友里花(主事)氏: まず、アカウント申請のハードルを大幅に下げたことが大きいです。岸先生(特任アドバイザー)がイントラネットから即座に申請・発行ができる内製システムを構築してくださり、管理側でのCSV一括発行を可能にしました。また、毎月の役職者会議で『ティップス集(事例集)』を共有し、成功事例を横展開し続けたことも功を奏しました。並行して、事務局の3名で院内45箇所の拠点を地道に回り、現場の『使い方が分からない』をその場で解決することを重視しました。こうした草の根の活動と、事務局による個別の伴走に加え、診療科ごとにキーマンとなる医師が自律的にプロンプトを整備して広めていくといったトップダウンとボトムアップの融合が、1,500名という数字に繋がったと考えています。

──システム連携の面でも独自の工夫をされたと伺いました。
宮部 勝之(消化器・腫瘍内科部長・医局長)氏: 電子カルテが連携していない場合、情報を一度コピーペーストする必要があり、この一手間が現場にとって大きな壁になります。当院では情報システム室が電子カルテの情報をDWH(データウェアハウス)を介してユビーと繋ぐツールを独自に内製し、シームレスなデータ連携を実現しました。特に紹介状作成は、プロセスに大きな変化をもたらしました。AIによるドラフト作成を経て、短時間で非常に濃密な内容に仕上げられるようになり、紹介先の医療機関から詳細な情報提供への感謝をいただく機会が増えています。これは今後の『電子カルテ情報共有サービス』等で共有される診療情報提供書や退院サマリー記載にも、極めて有用なツールになると考えます。また、内科では1年間他の病院と交流をするプログラムがあるのですが、生成AIのない環境から来た専攻医(専門研修中の医師)の方たちは、当院の環境に驚き、『これは素晴らしい、うちにも導入してほしい』という意見をよく聞きます。

──萩野 正嗣(看護係長)氏
看護の現場では、始業前の情報収集に活用しています。電子カルテを何度も開くことなく、短時間で患者さんの把握ができるようになりました。他にもサマリー作成など、日々の看護業務の軽減に役立っています。
今後、ユビー生成AIに期待すること
医療の質向上と「待ち時間ゼロ」の実現に向けた次世代の病院ビジョン
──ユビー生成AIの活用を通じて、今後どのような医療の姿を目指していきたいですか。
渡井 至彦(副院長・外科部長)氏: 重要な内容を記載するための書類作成作業をAIに任せることができれば、医師や看護師は本来の業務に集中することができ、彼らのモチベーションアップにもつながっています。病院内のどの職種のどの業務が効率化されたとしても、それは必ず患者さんへ還元されると思っています。正直に申し上げれば、当院が日赤全体の旗振り役になろうといった意識はありません。我々の使命はどこまでも『当院の職員と患者、そして地域医療を守ること』に尽きます。ただ、我々が自院の課題に向き合い、生成AIで成果を出した結果として、他院が導入される際の何らかの参考になればとは思います。

──伊藤 哲(情報システム係長)氏
他院への普及という点では、ツールを入れるだけでは不十分だということも強調しておきたいです。当院が成功したのは、内製ツールで電子カルテとの連携を担保し、運用の壁を乗り越えることができたからです。もしグループ全体に広げていくのであれば、ユビーさんには各電子カルテベンダーとの連携をさらに強化していただき、情報システム部のスキルによらず、どの病院でも導入できるような環境が整うことを願います。
──錦見 俊徳(泌尿器科部長・手術部長)氏
未来のAI像としては、AIによって外来診察の前に問診を終え、診察前の検査まで完了していると患者さんの『待ち時間』を限りなくゼロに近づけ、それが巡り巡って、職員の働きやすさにも直結するという時代が来たらよいですね。
──原 一洋(脳神経内科部長)氏
利便性を追求する一方で、安全性の確保は我々の譲れないポイントです。AIの誤作動を防ぐための最終的な停止判断や評価は、必ず人間が担う必要があります。テクノロジーを最大限に活用しながらも、最後の責任は人間が持つというバランスを保ちながら、テクノロジーによって生み出された貴重な時間を、患者さんとの対話に変えていくことが、我々が追求し続ける目標です。

お話を伺ったのは…
- 渡井 至彦 氏副院長・外科部長 医療情報管理センター・医療DX業務効率推進室担当副院長
- 錦見 俊徳 氏泌尿器科部長・手術部長 医療DX業務効率推進室 室長・生成AIWG担当副室長
- 宮部 勝之 氏消化器・腫瘍内科部長・医局長 医療DX業務効率推進室 副室長・生成AIWG担当室長
- 原 一洋 氏脳神経内科部長 医療情報管理センター長
- 岸 真司 氏医療情報管理センター 特任アドバイザー
- 萩野 正嗣 氏看護係長 医療情報管理センター 情報システム室 副室長
- 大野 友里花 氏主事 医療情報管理センター 情報システム室
- 伊藤 哲 氏情報システム係長 医療情報管理センター情報システム室 副室長

病院紹介
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院

名古屋第二病院は、愛知県名古屋市昭和区に位置し、「八事日赤」の通称で地域に親しまれている高度急性期医療機関である。大正3年(1914年)に日本赤十字社愛知支部八事療養所として開設されて以来、100年以上の歴史を紡いできた。同院は「思いやりのこころを大切に」をモットーに掲げ、1次から3次救急まで一貫して受け入れる強力なER体制の構築や、国内外における災害救護・国際医療救援活動に注力している。地域医療連携を推進する紹介専門の基幹病院として、中京圏の健康と医療を支える中核的な役割を担っている。
- 所在地
- 愛知県名古屋市昭和区妙見町2番地の9
- 設立
- 大正3年12月(1914年)
- 代表者
- 院長 佐藤 公治
- 病床数
- 764床(一般 762床/第一種感染病床 2床)
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