ユビー生成AI成果事例500床〜九州・沖縄

国立大学法人琉球大学 琉球大学病院

生成AIで臨床研究を加速。CRC業務が2.33倍に効率化

公開日:2026/3/27

生成AIで臨床研究を加速。CRC業務が2.33倍に効率化

高い院内技術力と生成AIを掛け合わせ、独自の運用を構築した琉球大学病院。臨床研究のCRC業務が2.33倍に効率化し、23ページのFAX処理が約2時間から5〜10分に短縮された。

高い院内技術力と生成AIを掛け合わせ、独自の運用を構築。現場での試行錯誤を通じて活用の幅を広げ、臨床研究の登録業務を効率化した。さらにIC記録の文字起こしといった日常業務の負担も劇的に軽減し、医療の質向上を牽引している。

導入の背景・目的
  • 既存生成AIの自由度の低さによる活用限界の突破
  • 患者情報漏洩リスクを完全に防ぐセキュリティ環境の共同構築
  • 臨床研究のCRC業務における情報抽出の効率化
効果
  • CRC業務が2.33倍に効率化(1.85件/時→4.31件/時)
  • 23ページのFAX処理が約2時間から5〜10分に短縮
  • IC記録1件あたり約20分の時間短縮を実現

既存AIツールの限界と現場を圧迫する文書作成負担

琉球大学病院では、医師や事務スタッフにとって退院サマリーなどの文書作成にかかる時間と労力が大きく、本来の業務を圧迫していた。また、時間不足によりサマリーの記載が簡略化されがちになり、監査で不十分な記載が散見されるなど、医療の質や安全の担保に改善の余地が存在した。同院では以前から他社の文章支援生成AIを導入していたが、事前定義されたプロンプトに限定され自由度が低いため、実際の利用は100件程度にとどまっていた。現場からは「もっと生成AIを活用したい」という要望があり、既存ツールの機能的な限界と現場ニーズとの乖離を埋める、新たなAIソリューションを模索していた。

選定の決め手は高い自由度と信頼のプラットフォーム基盤

新たな生成AIの選定において、プロンプトやテンプレートの自由度が高く、初心者からエキスパートまで幅広く活用できるUbie生成AIが高く評価された。導入にあたっては、生成AIを活用しつつ患者情報の漏洩リスクを完全に防ぐことが最優先課題であった。そこで、Ubieとの連携により、スマートフォンでの利用を院内のみに限定し、院外への持ち出し時には履歴を閲覧不可とするなど、厳密なセキュリティ環境を共同で構築した。さらに、Google社も出資するUbieのプラットフォームの信頼性や、将来的な進化への期待も、導入を後押しする重要な決め手となった。

臨床研究のレジストリ登録業務が2.33倍に効率化

楠瀬賢也医師、赤嶺博行医師が第3内科で実施している弁膜症レジストリ登録業務において、CRC(治験コーディネーター)が膨大な電子カルテの中から特定の情報を目視で探し出す作業には、多大な時間と労力がかかっていた。この課題に対し、Ubie生成AIを活用してカルテの非構造化データから必要な情報を抽出し、構造化されたチェックリストとして出力する独自のワークフローを構築した。これにより、該当箇所をピンポイントで検証することが可能となり、1時間あたりの処理件数は導入前の1.85件から4.31件へと2.33倍に向上した。目視確認による精神的ストレスも大きく軽減され、現場から非常に高い評価を得ている。

臨床研究分野を推進する「医師のパートナー」

第3内科では、臨床研究分野における生成AIの活用が、今後の研究推進に大きく寄与することが期待されている。同院でAI活用を牽引する現場の医師からは、「将来的にAIが書類を作成し、AIがチェックするプロセスが確立すれば、煩雑な倫理審査の自動化も見える未来だ」との声があがっており、AIが医師のパートナーとなる世界線を見据えている。さらに今後は、テキストや音声、画像を統合して判断するマルチモーダル化の進展も期待される。単なるコスト削減や業務の代替という枠組みを超え、「AIがあるからこそできる新しい医療の形」を構築していくため、現場での試行錯誤を通じてAI活用の下地となるデータ整備を進めていきたい考えだ。

現場主導の活用拡大とAIによる「医療の質」向上へ

自由度の高いUbie生成AIの導入は、現場スタッフの自発的な業務改善を引き出している。医事課が救急加算の算出根拠の査定を自動化したり、リハビリ部門が独自の帳票をファイル認識でAIに読み込ませて校正・要約するなど、様々な部署で現場主導の活用が広がっている。経営的なコスト削減や業務の代替という文脈にとどまらず、「AIがあるからこそできる新しい価値の創出」として前向きに受け入れられている。今後は、監査用テンプレートを用いた診療記録の監査作業の効率化なども進め、単なる省力化を超えて病院全体の「医療の質」と安全性を底上げしていく方針だ。

IC記録と大量のFAX情報入力、作業時間を劇的に短縮

日常診療の現場でも多大な導入効果が現れている。インフォームドコンセント(IC)の記録作成では、適切なプライバシー保護のもと音声データからのAI文字起こしと記録生成により、1件あたり約20分の時間短縮を実現した。さらに、緊急転院時に送られてくる23ページにも及ぶFAX情報からのカルテ入力作業では、AIのファイル認識機能を活用することで、通常約2時間かかっていた作業がわずか5〜10分へと劇的に短縮された。また、手書きのお薬手帳などもスマホで撮影して即座に電子カルテから履歴を参照できるようにするなど、多様なアナログ情報の処理負担軽減にも貢献している。

病院紹介

国立大学法人琉球大学 琉球大学病院

国立大学法人琉球大学 琉球大学病院

沖縄県宜野湾市に位置する620床の国立大学附属病院。高い院内技術力と生成AIを掛け合わせた独自の運用を構築し、臨床研究のCRC業務を2.33倍に効率化。23ページのFAX処理を約2時間から5〜10分に短縮するなど、現場主導の活用拡大で医療の質向上を牽引している。

所在地
沖縄県宜野湾市字喜友名1076番地
設立
昭和40年
代表者
病院長 鈴木 幹男
病床数
620床(ICU16床・NICU9床・GCU12床・E-ICU10床・E-HCU10床)
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